食虫植物

知らないと枯れる ~食虫植物を植える土~

こんにちは!

Thinkです(Twitterアカウント👉https://twitter.com/Think_blog_2019)

地域によって時期がずれていますが、大体春先から初夏にかけてホームセンターの園芸コーナーに食虫植物が並び始めます。

その奇妙な形に惹かれ、夏休みの自由研究などで育て始める方もいらっしゃるかと思います。

せっかく購入したので、どうせなら長期間育ててみたいですよね?

初めて食虫植物を購入する方、あるいは購入した方のために食虫植物に使える土をまとめました。

食虫植物を買って、長期間育てるためには植え替えが欠かせませんが、植える土を間違えると食虫植物が枯れてしまいます。

ホームセンターに行くと様々な土が販売されていて「観葉植物用」、「多肉植物用」、「バラ用」のように、親切に用途が記載されたものもありますが、「食虫植物用」と書かれた土は私が知る限り1つしかありません。

ただ、この土は内容量が少なく、鉢の数が少ないうちは大丈夫なのですが、鉢の数が増える(=使う土の量が増える)と、足りないのです。

そのため、今後いろんな食虫植物を栽培したい方のために、どんな土を選べばいいのか記事を書きましたので、ぜひ参考にしてもらえればと思います。

①どんな土が良いのか?

食虫植物の自生地環境から考えると以下のような土が好ましいです。

・栄養がほとんど無いもの
・通気性が良いもの
・保水性が良いもの
・排水性が良いもの
・酸性のもの

栄養について

野生の食虫植物は栄養が少ない土に生育しています。

もちろん、土から栄養が取れれば虫を食べる必要が無いのですが、そうすると周りの植物と栄養の奪い合いになるので、虫を食べて栄養を取るように進化してきました。

虫を食べて栄養を取るようになったため、根が貧弱になり、土の中の栄養を取り込む力が弱くなりましたので、栄養が多い土に植えてしまうと、あまりにも自生地と環境が合わないため、根が腐れてしまいます。

食虫植物を植えるときは、できるだけ栄養が無い土を選ぶのが良いです。

通気性・排水性について

植物は根も酸素が必要ですし、土の中の微生物も酸素が必要ですので、あまりにも「密」に土を敷き詰めてしまうと、空気が入らなくなり酸素不足になります。

また、隙間が無いと水が抜けることができずに、ずっと同じ場所にとどまり続けることになり、そうなると微生物が異常に繁殖してしまったり、土の中で発生した有害物質がとどまり続けてしまいます。

そのため、微細な隙間ができやすい土を選び、通気性・排水性を確保することが重要です。

通気性・排水性は、土の上に水をかけた時にどのくらいのスピードで水が下に抜けていくかを確認します。

例えば、「密」に敷き詰めた土だと、土の上にかけた水が全く下に抜けないため、土の上に池のように溜まってしまいます。

一つの目安としては、水をかけたときに表面の水が10秒以下でしみこんでいく土を使う・選ぶようにしましょう。

酸性の土について

日本の農業では、畑に石灰を撒いて酸性度をコントロールすることがあります。

これは、日本の土が基本的に酸性で、野菜が育ちにくいので石灰を撒いて中和する必要があるからです。

ですが、食虫植物の自生地ではほとんどが酸性の土です。

そのため、植える土も酸性の物を選ぶ必要があります。

間違ってアルカリ性の土を使ったり、石灰で中和しないようにしましょう。

②どの土が使えるか?

地域によっても違いますが、おそらくほとんどのホームセンターには以下の土を売っていると思います。

また、ネット通販でも入手することができます。

購入せず、その辺の土を使いたいところですが、食虫植物に良くない菌や虫が入っている可能性があるため、使う前に殺虫殺菌が必要です。
とても手間がかかるため、販売されているものを使用したほうが良いです。

販売されている土の中で、食虫植物に使用できるのは以下の通りです。

無機物の土

・鹿沼土
・赤玉土
・日向土
・パーライト
・バーミキュライト
・桐生砂

これらは酸性、あるいは中性の土で食虫植物の栽培に使えます。
鹿沼土、赤玉土、日向土を購入する際は小粒や細粒を選びましょう。
この無機物の土を使う場合は、これ単体で使うのではなくて有機物の土と混ぜて使います。

有機物の土

・ピートモス
・乾燥水苔
・あく抜きベラボン

これらの土は酸性で、栄養があまり含まれていないため、食虫植物が好きな土です。
一般的には腐葉土や培養土が有名かもしれませんが、こちらは栄養が多いのでやめたほうがいいです。

ピートモスはpHが低いため、中性にした「調整済み」というものも販売されていますが、食虫植物に使う場合は「無調整」のものを使ってください。

あらかじめ配合された土

・食虫植物の土

「観葉植物用の土」だったり、「畑用の土」のような、それぞれの用途に向けてあらかじめ配合された土が販売されていますが、これらには肥料も混ざっているため、使わないほうが良いです。

栽培している株数が少ない場合は、この「食虫植物用の土」を使いましょう。

③どの土を使えばいいのか?

販売されている土を紹介しましたが、どの土をどのように使えばいいのかわからないかと思います。

具体的には、食虫植物の種類や育てる環境によって使う土が変わってきます。

例えば、植え替えを嫌う食虫植物の場合は初めから耐久性が高い無機系の土を選びます。
耐久性が高いというのは、時間経過しても腐敗しないということです。
土が腐敗してくると植物に悪影響が出てくるので植え替えをしなければならなくなりますが、根が弱い植物の場合は植え替え自体ができないのです。

そのため、植え替えを嫌う食虫植物の場合は初めから腐敗しにくい無機系の土に植えます。

逆に植え替えができる食虫植物であれば、有機系の土に植えることができます。

こう書くと、「じゃあ何に植えればいいんだよ」という話になりますが、ホームセンターで販売されている食虫植物を植え替えるのであれば、乾燥水苔に植えるのをオススメします。

乾燥水苔は、水苔という苔を乾燥した物で、これを水に浸けてもとに戻したものに食虫植物を植えます。

乾燥水苔は、スポンジのように水をたくさん貯えることができる土で、しかも繊維質なので隙間がありますので、保水性と通気性・排水性のバランスがとても良いのです。

乾燥水苔の弱点は有機系の土なので腐れやすく、1年毎に植え替えしたほうが良いことと、値段が高いことだけです。

食虫植物の栽培に慣れていない方は、まずは乾燥水苔で1年間育てて、育て方を把握することができたら他の土を使ってみるのが良いと思います。

④乾燥水苔以外の土を使う場合はどうすればいいの? 

乾燥水苔以外の土を使う場合は、 無機系の土と有機系の土を混ぜて使います。

無機系の土の利点は、砂に近い形状をしているため、粒子同士の間に隙間があり、排水性・通気性が良い点です。
その代わり、有機系の土よりも保水性が弱いので、水切れに注意が必要です。

無機系の土を単体で使うこともできますが、どうしても栄養に偏りがありますので、少しだけ有機系の土を混ぜたほうがいいです。

混ぜ込む有機物は、ピートモスや乾燥水苔、ベラボン、燻炭が使えますが、粉状のものを使うと、隙間に詰まってしまい排水性・通気性が悪くなってしまいます。

こうなると、無機系の土の利点がなくなってしまいますので、粉状の有機物ではなく、繊維状の有機物を使ったほうがいいです。
なので、無機系の土に混ぜる有機物は繊維質なもの選びましょう。
具体的には、ベラボンやピートモスが良いです。

無機系の土と有機系の土を混ぜて場合ですが、どのくらいの比率で混ぜればいいのかわからないと思います。

そんな時は一つの目安として無機系の土と有機系の土の比率を1:1で混合してみてください。

それで実際に育ててみて、植物の状態や土の乾燥具合、根の張り具合、土の劣化具合を確認してから比率を変えてみるのが良いかと思います。

植える土の選択には100%正解というものがありません。

皆さんが育てる環境によって、最適な土が違うので、ぜひいろいろ試してみてください。

ピートモスとパーライトの混合

⑤私が使っている土

私は室内と屋外で食虫植物を栽培していますが、それぞれ栽培に使う土を使い分けています。

室内栽培

室内ではセファロタス、ダーリングトニア、ロリデュラを栽培しています。
ダーリングトニアは有機系の土が好きなので仕方がないのですが、それ以外は鹿沼土(細粒)とパーライト、ベラボンを混合した土を使っています。
比率は鹿沼土:パーライト:ベラボン=2:1:0.5くらいです。

理由は、室内栽培で有機物が多い土を使うと腐敗してカビが発生してしまうからです。
カビが大量に発生してしまうと食虫植物自体にもよくないですし、同じ空間で生活している人にも悪影響が出ますので、できるだけ腐敗しにくい土を使うようにしています。

屋外栽培

屋外ではサラセニア、ハエトリソウ、イトバモウセンゴケ、ドロソフィルムを栽培しています。

ドロソフィルムは植え替えが不可能なので、鹿沼土に植えていますが、それ以外の食虫植物はすべてピートモスとパーライトを混合した土に植えています。
比率はピートモス:パーライト=1:1くらいです。

理由は、ピートモスとパーライトが大量に購入することができ、比較的安価で入手できるためです。
また、屋外だと風と太陽光が直接あたりますのでカビにくいですし、仮にカビたとしても室内栽培と違って同居家族に悪影響が出にくいです。