食虫植物

食虫植物に農薬を散布する方法

こんにちは!

Thinkです(Twitterアカウント👉https://twitter.com/Think_blog_2019)

食虫植物を栽培すると、病気や害虫の影響でうまく育たなくなり、放置すると枯れてしまいますので、定期的に農薬を散布することで、より長く栽培することができます。

とは言え、農薬を使おうと思っても、どの農薬をどのように使えばいいかよくわからないものです。
私が農薬を使うときに勉強した内容をこの記事に記載しますので、参考にしてもらえればと思います(自己責任で)。

農薬とは

農林水産省のホームページを参照すると、農薬の定義は以下の通りとなります(原文はコチラを参照)。

  1. 農作物(樹木及び農林産物も含む)を害する菌、線虫、ダニ、昆虫、ネズミ、草その他動物またはウィルスの防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤、除草剤その他の薬剤
  2. 農作物の生理機能の増進または抑制に用いられる成長促進剤・発芽抑制剤
  3. 農作物の病害虫を防除するための天敵

食虫植物の栽培では主にホームセンターや通販で購入できる①の薬剤を使います。
また、購入後は他人に譲渡や販売をしないでください。

殺菌剤

植物に付着したり、内部に侵入した細菌を殺菌する薬剤のこと。

殺虫剤

植物に付着したり、内部に侵入した虫(線虫、ダニ、昆虫)を殺虫する薬剤のこと。

予防薬

殺菌剤に該当するものの中で、病気の発症を抑える効果があるもの。
浸透移行性が無いので発病した後は効果がない。
例:ダコニール、オーソサイドなど
詳細はコチラのサイトを参照

治療薬

殺菌剤に該当するものの中で、浸透移行性があるので病気が発症していても治療できる薬のこと。
例:ベンレート、モレスタンなど
詳細はコチラのサイトを参照

作用機序

農薬が効果を発するときの仕組み

浸透移行性

農薬が植物に付着した後に、植物の体内に農薬の成分が浸透していく性質を持つこと。

農薬を散布するタイミング

農薬は便利ですが、短い間隔で使うと薬害という副作用みたいな現象が発生して植物が弱ることがあります。
なので、最低限2週間は間隔をあけて使いましょう。
私は毎月28日に散布しています。

散布する農薬の選定

農薬は連続して同じ作用機序の物を散布すると虫や細菌が耐性を持ってしまい、農薬を散布しても防除できなくなってしまいます。
そのため、散布するときは、前回散布したものと異なる作用機序の物を散布しましょう。
農薬の作用機序はコードという記号で分類されていて、殺菌剤はFRACコード、殺虫剤はIRACコードといいます。

FRACコード一覧
IRACコード一覧(サブグループ参照)

例えば、前回の農薬散布で殺菌剤のFRACコードが3のものを使ったら、今回は3の物は使わないようにします。
殺虫剤も同様で、こちらはIRACコードというものを参照します。
例えば前回IRACコードが1Aの物を使用したら今回は使わないようにします。

私のところでは
殺菌剤はベンレート(FRACコード1、治療薬)→ダコニール(FRACコードM5、予防薬)→トリフミン(FRACコード3、治療薬)
殺虫剤はモベント(IRACコード23)→スミチオン(IRACコード1B)→アドマイヤー粒剤(IRACコード4A)
のような順番で使っています

農薬の混用

農薬を散布するときは、殺菌剤と殺虫剤を混合して散布することができます。
ただ、殺菌剤と殺虫剤ともに2種類以上混合しないでください。
また、殺菌剤と殺虫剤の中で、混合して使えないものもあります。

混用事例というデータがありますので、コチラを参照ください。

農薬の希釈について

農薬は希釈して使うものと希釈しないで使うものがあります。
希釈して使うのは、スプレータイプというもので、別の項で説明します。

希釈は農薬を測りとり、水で薄める操作のことです。
希釈する度合いを希釈倍率といい、「2000倍」のような表記で表します。
希釈倍率は農薬毎に散布する植物毎に決まっていて、食虫植物に散布するときは観葉植物の希釈倍率を参考にします。

希釈操作は、例えば希釈倍率が2000倍と書いてある場合は
農薬を1g(液状のものは1mL)はかり水2000mLにすることを言います。
つまり、もともとの農薬の体積が1/2000に薄まることを2000倍希釈といいます。

農薬の希釈の仕方

農薬の希釈はそこまで正確にやる必要はないですが、大きく外れた希釈をすると効果が無かったり薬害が発生するので、ある程度目安があったほうがいいです。

液状の農薬はピペットのようなものを使って測りとります。
私はディスポ(使い捨て)タイプのピペットで測っています。

粉状の農薬は電子天秤を使って測り取ります。
電子天秤は少数点以下1桁以上表示でき、地域設定ができるものを買いましょう。


電子天秤の表示は、表示されている一つ下の桁を四捨五入して表示しますので、画面に1gと表示されていても実際は0.5g~1.4gのどれかなので、誤差が大きいです。
それに対して小数点以下1桁まで表示できる電子天秤で1.0gを測れば0.95g~1.04gの間の誤差に抑えることができます。

地域設定については地域によって重さが変わってしまう現象を補正する機能です。
というのも、同じ質量の物を測っても地域によって表示される数字が変わってくるからです。
これは重力加速度が地域によって異なることによるもので、天秤の場合は分銅を載せることで補正できますが、電子天秤の場合は分銅を載せることができないのでそのままでは重力加速度を補正できないのです。
なので、メーカーがあらかじめ補正用のデータを地域設定という形で記録しているのです。

水を測るときは取手付きビーカーや、散布機を使う場合はタンクに目盛りが書いてあるので、あらかじめ所定量の水を入れて置き、そこに農薬を測り入れます。

厳密には薬剤を測ってから所定の体積になるように水を入れるのですが、泡立つ農薬の場合、目盛りがわからなくなるのであらかじめ所定の水を入れた状態に農薬を測り取ります。