食虫植物

食虫植物を購入する前に確認すること

こんにちは!

Thinkです(Twitterアカウント👉https://twitter.com/Think_blog_2019)

地域によって時期がずれていますが、大体春先から初夏にかけてホームセンターの園芸コーナーに食虫植物が並び始めます。

その奇妙な形に惹かれ、夏休みの自由研究などで育て始める方もいらっしゃるかと思います。

せっかく購入したので、どうせなら長期間育ててみたいですよね?

初めて食虫植物を購入する方、あるいは購入した方のために注意すべきことを記事にしました。

これから食虫植物を育ててみたいと思っている方は是非参考にしてもらえればと思います。

①日光は当たるか?

食虫植物と聞くと、「虫を食べれば生きていける」と考えがちですが、実は虫よりも必要なものがあります。

それは「」と「」です。

食虫植物は、他の植物と同様に根っこから水を吸収して光を利用して光合成することで生きていますので、まずは水と光が必要になります。

これが人間でいえば食事に該当します。

食事なので水と光が無くなると死んでしまいますし、逆に水と光だけでも生きていけます。

では、食虫植物が虫を食べるのは何に該当するのでしょうか?

虫を食べるという行為は人間の場合はサプリメントを飲むことに該当します。

つまり「別に無くてもいいけど、摂取すればなお良い

といった具合です。

ただ、ハエトリソウのように、「食べるときに葉が動く」のには大きなエネルギーが必要で、何度も葉っぱが動くとエネルギーが無くなり、枯れてしまいます。

人間でいえば、ビタミン剤を飲むためにフルマラソン(42.195km)を走っているようなものです。

そこまでして虫を食べるようになったのは、食虫植物が生きている地域は土の中に栄養が少ないことが起因しているといわれています。

つまり、根から水を得て、葉っぱで光合成を行うのに加えて虫を食べることで、周囲に生える一般的な植物と栄養の取りあいをしなくて済むため、より生き残りやすかったという感じです。(所説あります)

なので、ホームセンターや植物園でハエトリソウを見かけても「絶対に触らないでください」。

植物が弱るのももちろんですが、お店の物を意図的に枯らした(=壊した)と判断されて、裁判沙汰になる可能性もあります。

もし触りたい場合は、購入して自分の所有物になってから触ってください。

そして購入する前に、ちゃんと育てる環境がそろっているか確認してください。

②水をあげる・捨てることはできるか?

食虫植物は、湿地や川のそば、あるいは雨が多い場所に生息していますので、育てるのには水を必要としますし、乾燥に弱いです(一部例外あり)。

なので、頻繁に水やりが必要になりますし、場合によっては鉢植えの下を常に水で浸しておく「腰水」もします。

ですが、気温や湿度が高くなると、水が腐敗してきますので交換する必要があります。

このことから食虫植物を育てるときは水回りの設備が整った場所が近くにあると良いです。

③農薬は使えるか?

食虫植物も植物ですので、病気になりますし害虫が取り付く事もあります。

ハエやハチのように、甘い匂いに誘われる虫であれば、食虫植物が食べることができますが、アブラムシのような植物自体を餌にする虫の場合は食虫植物が食べられてしまいます。

また、カビの仲間やウィルスによって病気になります。 

人間も病気になれば薬を使って治療しますが、植物も同じで予防や治療のために農薬をつかいます。

なので、食虫植物を育てるときは農薬を使う事を覚悟してください。

「農薬」と聞くと、「体に危険な物」に聞こえますが、一般のお店で売られている物は、鍵付きのキャビネットに入っている物を除いて、そこまで危険ではありません。

鍵付きのキャビネットに入っている物は、毒物・劇物なのでとても危険です。

ですが、食虫植物の治療に使うのは毒物・劇物でなくても大丈夫なので、手についたり吸い込んだりしないようにすれば問題ないです。

④土を使える作業場はあるか?

食虫植物も土に根を張って育っています。

ホームセンターで販売されている物は、大抵ピートモスや水苔という有機系の土、つまり微生物が繁殖しやすい土を使っている事があり、購入した時カビが生えていたり、腐ったような匂いがする場合は、すぐに植え替えたほうがいいです。

植え替えの時に、古くなった土を捨てて新しい土に植えるわけですが、土なのでどうしてもバラバラこぼれます。

そのため、部屋の中で作業すると部屋が土まみれになりますし、手も汚れますので可能なら、庭などの土が使える環境があったほうが良いです。

⑤自分の地域の気温は適しているか?

食虫植物は「熱帯のジャングル」に生えているイメージがありますが、実は自生地は様々で、熱帯のように暑い地域に生息しているものもあれば、冬には雪が降るような日本に近い気候の地域に生息している物もあります。

なので、自分が買おうとしている食虫植物が生き残れる気温を確保できるか、確認したほうが良いです。 

例えば、冬に弱い食虫植物を買う場合は、冬は暖房が効いた部屋に入れる必要がありますし、逆に暑さに弱い食虫植物を買う場合は、真夏に冷やさなければなりません。

ホームセンターに売られている食虫植物は、比較的栽培しやすい品種ですが、冬の寒さに弱いものもあります。

一例としてホームセンターで購入できる食虫植物が耐えれる温度を記載しますので、購入時のご参考としてしていただければと思います。

ただ、最高気温については、植え付けに使う土や鉢植えの材質によってケアできることもありますので、最低気温の方を注意したほうが良いです。

ハエトリソウ

最低:ー10℃(雪に埋もれてれば、ー20℃まで大丈夫)

最高:30℃

サラセニア

最低:ー10℃(雪に埋もれてれば、ー20℃まで大丈夫)

最高:30℃

ネペンテス(ウツボカズラ)

最低:10℃

最高:30℃

湿度:60%以上

モウセンゴケ

最低:10℃

最高:30℃

ミミカキグサ

最低:10℃

最高:30℃

ムシトリスミレ

最低:10℃

最高:30℃

ハエトリソウとサラセニアはもともと雪が降る地域に生息しているので、北海道よりも南の地域では越冬できますが、それ以外の品種は温度を上げてやらないと生き残るのは難しいです。

⑥季節ごとの管理

日本には、四季と呼ばれるほど明確な温度の変化がある季節があります。

地域にもよりますが、夏は気温30℃を超える真夏日になりますし、一方冬は気温が氷点下10℃を下回る真冬日と呼ばれるものもあり、食虫植物の中には、こういった環境変化に慣れている品種もあれば、慣れていない品種もあります。

こういった季節毎の管理については様々な食虫植物の本に掲載されていますが、著者の住んでいる地域に則った管理方法が記載されているため、どういった目的がある管理方法なのか、自分の環境だとどうすればよいのかを考える必要があります。

また、夏場のホームセンターの店内で販売されているものは、弱い光の下、乾燥した冷房の空気にさらされています。

ホームセンター内の環境はあくまでも販売するまでの一時的な置き場所ですので、決して栽培に適した環境だとは思わないようにしてください。

以下にホームセンターで入手できる代表的な食虫植物の管理方法を書きますので、ぜひご覧ください。

ハエトリソウ

ハエトリソウは寒さにも暑さにも強いので、私が棲んでいる岩手県では一年中外に放置して育てることができます。

ただ、これは岩手県での話であって例えば沖縄や北海道ではまた違った管理が必要です。

ハエトリソウが一年中外で栽培できる環境は

限界最高温度:40℃

限界最低温度:-20℃

くらいかと思います。

水やりは、土の表面が乾いてきたらたっぷりかけるか、水を張った盆に浸す腰水の状態で管理します。
土が完全に乾いてしまうと、枯れてしまいますので水切れが心配な方は両方やったほうがいいです。

春の管理

春はハエトリソウが目覚める季節で、気温が上昇してくるとどんどん新しい葉っぱやつぼみが出てきます。
冬の間に葉っぱが黒くなっていますが、株の中央部分が緑色なら問題なく越冬できています。
植え替えや株分けをするならこの時期にしましょう。
また、虫も目覚めてくる時期なので、アブラムシなどが新芽にとりつきます。
そのため、植え替え等が終わったら、早めに薬剤散布をしたほうが良いです。

この時期は温度に気を付けることはないですが、季節の代わり目で風が強いので土が乾燥しすぎないように注意が必要です。
土の表面が少し乾燥する程度なら問題ないです。

日本では春から夏にかけて、梅雨がありますがこれが危険です。

というのも、長雨で葉っぱの表面が数日間濡れ続けるからです。
ハエトリソウ自体は水分が好きなので水をかけても大丈夫なのですが、濡れた葉っぱが数時間で乾燥するくらいがちょうどいいのです。

一方、梅雨時では数日間雨が降り続けますので、ずっと葉っぱが濡れてしまいます。
そうなると、葉っぱの表面でカビが発生してしまい、ハエトリソウが病気になってしまいます。

なので梅雨などの長雨になる前に薬剤散布して病気予防するのと、雨にあたらない場所に移動したほうがいいでしょう。

夏の管理

ハエトリソウ自体、日光がとても好きな植物ですので、日の光は直接当てても大丈夫です。
夏で一番注意するのは、ハエトリソウを植えている鉢植えの温度です。
常に冷やす必要はないですが、夕方に水をかけて鉢植えの中にたまっている熱を逃がしてやる必要があります。
逆に、昼間に水やりするとあげたばかりの水が太陽光で加熱されて、根にダメージを与えますので昼間の水やりは控えたほうがいいです。

関東より南にお住まいの方(特に大阪)は、真夏にとても日差しが強くて暑いです。
なので、鉢植えの温度上昇を避けるために断熱性能が高い発砲スチロールのトレイに入れたり、鉢植えにアルミホイルを巻いて、太陽光を遮ったほうがよさそうです。
また、ハエトリソウ自体にあたる日光も少し遮光したほうがいいでしょう。
遮光するときは、ホームセンター等で販売されている寒冷紗というカーテンみたいなものを使ってもいいですが、ハエトリソウは背が低い植物ですので、他の背が高い植物の影に置くことでも遮光になります。

いずれにしろ、重要なのは「温度上昇を抑えて光を当てる」ということを念頭に管理してもらえればと思います。

秋の管理

秋になると、ハエトリソウが紅葉してきますし寒くなるにつれて徐々に成長が遅くなってきます。
冬の休眠準備に入ってるので雪が降る前に薬剤散布を済ませておきましょう。

ちなみに、沖縄のような年中気温が20℃近くある地域だと休眠しないそうです。
休眠しないと、春先のような爆発的な成長ができないので、徐々に株がやせていく可能性があります。
海外の動画を見る限り、ミズゴケに包んで冷蔵庫に入れることで強制的に休眠させる方もいらっしゃるようです。

冬の管理

冬は気温が氷点下10℃くらいまでさがっても大丈夫ですが、できるだけ寒風の直撃は避けたほうがいいので、風が直接当たらないようにしましょう。
冬の間は休眠しているものの、乾燥に注意が必要です。
夏場ほど水はいらないですが、土が乾燥すると枯れてしまいますので、もしも屋内や雨・雪が当たらない場所で越冬する場合は注意してください。

もし雪が降る場所にお住まいの方であれば、雪の下に埋もれるようにするのが良いです。
というのも、雪の下であれば寒風が直撃しませんし、土が乾燥することもないからです。
そのため、冬の間は薬剤散布はしなくても大丈夫です。

サラセニア

サラセニアもハエトリソウと同様、寒さ・暑さに強いので、私が棲んでいる岩手県では一年中外に放置して育てています。

ただ、これは岩手県での話であって例えば沖縄や北海道ではまた違った管理が必要です。

サラセニアが一年中外で栽培できる環境は

限界最高温度:40℃

限界最低温度:-20℃

くらいかと思います。

水やりは、土の表面が乾いてきたらたっぷりかけるか、水を張った盆に浸す腰水の状態で管理します。
土が完全に乾いてしまうと、枯れてしまいますので水切れが心配な方は両方やったほうがいいです。

春の管理

サラセニアは冬の間休眠していますが、春先になるとつぼみと捕虫葉を伸ばし始めます。
植え替えや株分けをするときは、この時期にするようにしましょう。

また、虫が活発になる時期なので、新芽にアブラムシ等の害虫が取りつきやすいため、植え替えが終わったら薬剤散布をしておいたほうが良いです。
アブラムシのような、植物の汁を吸って生活するタイプの虫の影響を受けると、捕虫葉がグネグネ曲がって成長して見栄えが悪くなり、成長も遅くなります。

そしてアブラムシ自体がどんどん増えますので、周辺の植物にも広がっていきます。
数が少ないうちに早めの対応が必要です。

夏の管理

夏になると、どんどん捕虫葉を出してきますが、日差しが強くなるにつれて捕虫葉になり損ねたような形の葉っぱが出てきます。
これは「剣葉」と言って、光合成用の葉っぱになります。
決して異常ではありませんのでそのまま成長させましょう。株の調子次第では春から夏の間に捕虫葉ではなく、剣葉しか出さないこともあります。
これは、光合成のほうを重視しているようで、秋口に捕虫葉を出します。

真夏になると気温がとても高くなるため、夕方には水をかけて鉢植えの中の温度を下げたほうがいいです。
腰水をする場合でも、水が高温になってしまうので浅めにしたほうがいいです。
温度管理の方法はハエトリソウの項を参照してください。

秋の管理

秋はサラセニアが休眠前最後の捕虫葉を出す時期です。
休眠前にできるだけ虫を捕まえて栄養を確保しようという魂胆でしょうか。

この時期になると、夏までに伸びた捕虫葉が枯れて倒れてきます。
もし枯れてきてるようなら切ってしまいましょう。
これはおそらく古い葉っぱをよけて、新しい葉っぱが伸びやすいようにしているものと思います。

雪が降る前に、薬剤散布して病気予防に努めましょう。

冬の管理

冬はできるだけ寒風を避けて管理したほうがいいです。
ハエトリソウと同じで、やはり雪に埋もれた状態で管理するのが一番良いです。

ネペンテス(ウツボカズラ)

ネペンテスは熱帯産の植物なので、暑さに強いのですが寒さにはとても弱いです。
そのため、私が棲んでいる岩手県では夏は屋外で栽培できますが、秋から夏までは屋内に入れる必要があります。

しかも屋内にいれただけではだめで、ちゃんと高い温度を維持しないとダメです。

限界最高温度:40℃

限界最低温度:10℃

くらいかと思います。
ただ、これはホームセンターで販売されている品種に限った話です。
また、最低限界温度が10℃といっても、数日間10℃のままだと枯れます。
最低でも20℃を維持するようにしましょう。

水やりは土が乾いてからたっぷりかけるのがいいです。
ハエトリソウやサラセニアは腰水をしても大丈夫ですが、ネペンテスではやめたほうが良いです。

また、ツボの中に水を入れるとツボが長持ちして、見栄えが良くなります。
ツボからあふれるくらいに水を入れても、ネペンテスは自動で液量を調節するので、水やり時にあふれても気にしなくて良いです。

春の管理

春はネペンテスにとってはまだ寒い時期です。
最低気温が20℃になるまでは外に出さないようにしましょう。
また、季節の代わり目なので、極度に乾燥した風が吹くことがありますので、夏に近づくまでは簡易ビニールハウスのような直接風が当たらない場所に入れておくのが良いです。

この時期はアブラムシ等の害虫が出始めますので、薬剤散布は必ずしましょう。
特に葉っぱの裏に虫がつきやすいので、植物の下側から散布すると効果的です。

夏の管理

ネペンテスは暑さに強いですが、強い日差しが苦手です。
そのため、真夏の焼けるような日光が照りつけるときは、木陰のような場所に移すか、レースのカーテンのような少し光を遮るものを利用すると、葉っぱへのダメージが少ないです。

ただ、ホームセンターで販売されている品種は、こういった環境ストレスに強い品種ですので、気にしなくても普通に育ちます。

秋の管理

最低気温が20℃になってきたら、冬支度をはじめましょう。
秋からあっという間に冬になりますので、少し余裕をもって作業したほうがいいです。

寒くなってくると、ネペンテスは活動が鈍くなるので水をあまり消費しなくなります。
そのため、土は夏よりも少し乾かし気味にしますが、空気が乾燥してる場合は湿度を高くする工夫が必要です。

冬の管理

冬の間は、気温が最低でも20℃以上になるような場所に置きましょう。
また、熱源の近くはとても乾燥しますので、簡易ビニールハウス等に入れて、熱源からの空気が直接当たらないようにしましょう。
乾燥対策としては、加湿器のようなもので加湿するとなお良いです。

室内に入れると日光が当たりにくくなりますし、何より日照時間が短くなりますので、できるだけ窓際において日光を当てるようにます。
また、市販の植物育成LEDを使うのも効果的です。

⑦まとめ

ホームセンターに並ぶ食虫植物を見ると、ついつい欲しくなるものです。

購入する前に、ちゃんと育てることができるかよく確認することで、より長く、そしてより深く楽しむことができるかと思います。

⑧もっといろんな情報を知りたい!という方は

 「他にどんな食虫植物があるの?」や「この食虫植物を育ててみたい!」という方は情報の集め方を記載しますので、是非参考にしてもらえればと思います。

他にどんな食虫植物があるか知りたい!

まずは書籍で確認するのが良いです。

以下の書籍をオススメします。

・世界の食虫植物図鑑

・ネペンテスとその仲間たち 食虫植物ハンドブック

 この2冊があれば、食虫植物の種類から育て方まで確認できます。

どうやったら入手できるの?

愛好家や通販で購入できます。

以下ににリンクを掲載しますので、ぜひ覗いてみてください。

日本食虫植物愛好会

山田食虫植物農園

ヒーローズピッチャープランツ

植え替えや農薬の使い方を知りたい!

インターネットで動画を配信されている方がいますので、是非ご覧ください。

昔は海外の方の動画しかないイメージでしたが、最近は日本の方の投稿も増えました。

ただ、誤った情報を発信されている方もいますので、私がオススメの動画リンクを掲載いたします。

👇関西の食虫植物愛好家で育て方の他に自生地見学等幅広い情報発信をされています

チャンネルのリンクからLINEのオープンチャット「食虫植物友の会」に参加すると、もっとコアな質問もすることができますので、是非ご参加ください。

👇プロレスラーの獣神サンダーライガーさんも食虫植物愛好家です